2009年5月より「裁判員制度」が始まりました。
これまで、裁判を経験していないわたしにとって、裁判結果は気になるものの、裁判自体は、あまり興味は持っていませんでした。しかし、この裁判員制度での「裁判員」は、日本国内の一般の人を対象としていることから、決して人ごとではなくなってきたわけです。勉強してもすぐに忘れてしまうので、以下とおり裁判の流れと、裁判員の出番についてまとめてみました。(作成2009/2、改訂2022/2)
この全体図では裁判員制度を覚えることはできませんが、Youtubeなどで勉強した後に見ることで、おおむね思い出せるのではないでしょうか。模擬裁判の様子を取材した動画が分かりやすそうです。右上の図は、裁判関連当事者と裁判フローについて書いたものです。
横軸は、左より「警察」「原告側(被害者と検察官)」「被告側(加害者と弁護人)」「裁判官・裁判員」の順番に並んでいます。縦軸は、時間の流れを表します。日本は三審制ですので、第一審「地方裁判所」、次に控訴があると第二審「高等裁判所」、さらに上告になると第三審「最高裁判所」にて判決が出されますが、裁判員に関係する裁判は、第一審のみです。
<裁判員候補者認定> 裁判員は、年末に翌年分の裁判員候補者を選挙人名簿の中からクジ引きにより抽出(おおよそ30万人から40万人)され、その後、通知および調査書を受け取ります。この時、辞退しなければ、そのまま「裁判員候補」として登録されることになります。
犯罪が発生し、警察により容疑者が拘束された後、検察官(地方検察庁)が調査し、違法となれば証拠を揃え、刑事事件として「起訴」することにより裁判が始まります。加害者(被告)は、この間、勾留されており、何も調査できない(自己弁護できない)ことから、専任の弁護人をつけ調査することができます。指定の弁護人がいない場合には、国選弁護人が、被告の弁護にあたります。
<候補者の呼び出し> 裁判の日程が決定すると、裁判所は候補者(50人から100人)を呼び出します。さらに、事件に関連しない中立の立場の裁判員を選ぶため、実際に裁判を審議する裁判官3名と検察官、弁護人にて、候補者の面接を行います。(事件の概要はこの場面で聞くことになります)。裁判員として選ばれるのは、裁判員6名と予備裁判員6名。予備裁判員は、選任された裁判員が支障をきたした時のための交代要員ですので、裁判には同様に参加することになります
視点1: 時系列にてプロセスをまとめる。関係性をシンプルにして直線的にとらえる。マトリックス化する。
実際の法廷では、図のとおり、裁判官3名(青い丸)とその両側に3名づつ(紫の丸)裁判員が並び、審議の中に入ります。予備の裁判員は、その後ろに並びますが、いつ交代してもいいように、裁判員と同じ立場となり、審議の内容を理解しておかなければなりません。
人定質問、罪状認否、冒頭陳述と続き、審議が行われていきます。最後に検察官の論告求刑と弁護人の弁論が終了すると、ここで裁判官と裁判員は「評決」をおこなうため退廷。裁判官を含む9名は、別室にて「評議」を重ね、最後に「評決」を行います。「評決」とは、公判で主張された意見が 正しいかどうかを「評議」で決定すること。裁判開始から評決までは、標準的には3日間ほどかかるようですが、この間は、仕事は休む必要があるのが、働くものにとっては、少し辛いところですね。
実は、わたしは、以前、この「裁判員制度」をいぶかしげにみていました。本来、裁判というものは、法律を勉強した資格者たる裁判官が判決を行うもので、民間を交えるということはどういうことなのか、なぜ協力しなければならないのか、という疑問を持っていました。
視点2: 関係する人々が会する場所での、それぞれのポジションを把握する。
しかし、「評決」のルールをよく眺めてみると、この制度の意図を理解することができました。基本的に、評決は裁判官3名と裁判員6名で行い、その内容は多数決で決まります。ここで、例えば5対4にて有罪が決まる場合(有罪の場合は裁判官が必ず1名いなければなりません)と無罪が決まる場合(無罪の場合は、裁判官がいなくてもかまいません)、という微妙な評決の場面に着目してみましょう。この場面を図にすると以下のようになります。
ここで、さらに旧制度と比較してみると、制度の違いがよくわかります。この評決が、裁判員のいない過去の制度(裁判官3名)でみてみると、
●新制度では有罪となる評決が、旧制度では無罪となる可能性があり、
●新制度では無罪となる評決が、旧制度では有罪となる可能性がある、
ということ。つまり、新旧では逆の判決がでる、ということです。これは、有罪/無罪という人の一生を決める重要な判断をするにあたって、極めて重大なことと思うのは、わたしだけではないでしょう。
視点3: 既存のチャートを参考に判定の区域を明確にし、関連情報を組み入れる。
対象の刑事事件、日本の裁判所、裁判員制度に参加された方の感想(2009/2/27読売新聞)を掲載しました。また、忘れないよう(忘れてもいいよう)、私なりの考え方をまとめておきました。
法律は絶対的なものではありません。とはいえ、裁判官は、現段階での法律の範囲で物事を考えなければなりません。しかし、世の中には、法律的にはそうであっても、「どうみても、それはおかしい」ということはあります。つまり、「裁判員制度」は、「世間の評価」をくみする、ということなんですね。特に、有罪/無罪の微妙な判定に、この制度は威力を発揮することでしょう。
視点4: 裁判員制度は思想宗教に関連することから、中立的立場でマクロ的に事象をとらえたプロローグ・エピローグをまとめておく。
RFIDを活用した視覚障碍者向け知的向上支援ツールの取り組み
支援ツール作成のきっかけ
【その1】以前、ある集りで講演をする機会があり、その中に視覚障害者の方がおりました。昨今の講演では、視覚的なツールを活用して説明することが、数多く見受けられますが、他の講演も含め、その理解度を尋ねてみたところ「おおむねは理解はできました。」という返答でした。
どうやら視覚障害者の方は、話の内容を全体的なイメージとしてとらえているようです。素晴らしいことです。人間は、一部の機能を失うと、これを補完しようという働きが育ちますが、これは「腕時計」をはずしてみるとよくわかります。腕時計をはずすと、体内時計を実感することができるでしょう。
そうとはいえ、さらに理解度を深めるため、イメージをさらに広げる「まとめる技術」が使えないだろうか、ということを考えたわけです。これまで作成した中で「裁判員制度」の、裁判プロセスに関して、A4版の一覧図を作成してみました。
表
裏
【その2】列に裁判関係者を配置し、行を時間軸にすると、エクセル形式のマトリックスができあがります。これを厚手の「紙」に出力し、以下のような位置を、山折り、谷折りしていくと立体的な形状ができあがります。裁判の進行状況と関係者の役割の全体像が、なんとなく手の感触でわかるような気がしたのです。
次にそれぞれのアイテムに印をつけ、さらに「点字」で説明を加えることにより、裁判におけるフローの中で「だれが」「いつ」「なにを」するかなどの概略をつかめるのではないと考えたわけです。
しかし、実際に点字を調べてみるとその複雑さに驚きます。考えてみれば、六つの点の凹凸でひとつの言葉を表わすことから、試してみたものの、当然、限界が出てくるようです。この時点で、実際の視覚障害者の方を訪ね、意見を伺うこととしました。
視覚障がい者の思い
【その3】訪れた視覚障害者の方から、意外な意見を聞かされました。現在、視覚障害者の方は全国に30万人いるといわれています。また、昨今の医療技術の発達から、先天的障害者の数は減少に傾向があるようです。その反面、病気や事故などにより、中途から余儀なく視覚障害になられた方も多い、とのこと。さらに続けて、
●特に年齢を重ねた方ほど、点字は覚えられない
●点字一文字が「ひらがな」に相当するため、ひらがなで字を読まなければならない
●エレベーターは、その階数の点字を探しているうちに動いてしまう
との評価でした。最近の視覚障害者向けの、情報系アプリケーションでは、「音声合成技術」が進展しており、PC上のエクセルシートの内容を読み上げることができます。ご本人に聞いてみると、ご苦労は多いものの、それなりに便利に使っているようです
ここで、「RFID」のお話をお伺いいたしました。RFIDはICチップの形状にて、数多く市場にでてきましたが、そのほとんどは、「物流」において、瞬時に数量を計測する、というものです。
実際に、100円ショップで購入した装飾品を並べるとともに、点字を配する方法には無理あり、どうも実用性があるとは思えません。
障がいを乗り越えて
【その4】某メーカーP社より、視覚障害者向けの機材が開発されています。これは綿密な市場調査と試験を経て、市場に出荷されたもので、衣類への装着や、冷蔵庫内の食品の情報を確認することができるので、お年寄りにも役立つ優れもの、といえるでしょう。
実際にそのメーカーの方と話しましたが、紙面に貼り付け、これを読み取るという形態にはなっていないので、難しいようです。H社の研究所にお邪魔したことがあります。重電主体のビジネスが主体であるにもかかわらず、多少なりとも興味を持っていただいたようです。しかし、市場性の観点からやはり難しそうとのことでした。まだまだ、障害がありますが、いつしか解決策が見つかるものと考えています。
【その4】 某メーカーより、視覚障害者向けの機材が開発されています。これは綿密な市場調査と試験を経て、市場に出荷されたもので、衣類への装着や、冷蔵庫内の食品の情報を確認することができることから、お年寄りに役立つ優れものといえるでしょう。今後、形状や読み取り手順、価格に関して、いろいろと課題がありますが、毎年9月に開催される、国際福祉機器展を通じて研究を継続していきたいと思います。
追記2022/1:IOTの進展した現在、各種の器材があることから、利用価値の高い製品を探してまいります。なにか、よい情報があれば、こちらまでお知らせいただければ幸甚に存じ上げます。
2014 記、2022/1加筆
「裁判員のことがよくわかる本」(小林剛監修、造事務所編集・構成):実務教育出版<2008/12/20>
※本稿は、本著書を参考にしつつ、その他の資料より情報を抜粋して記載しておりますが、勉強不足からくる稚拙さ、誤り、著作権上の問題もあるかもしれません。その際にお知らせいただければ修正させていただきます。